産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、廃棄物処理法に規定される要件に適合している必要があります。廃棄物処理法では、事業の⽤に供する施設及び申請者の能⼒がその事業を的確に、かつ、継続して⾏うに⾜りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること、⽋格要件に該当しないこと、と規定されており、具体的には以下の要件を満たす必要があります。(廃棄物処理法第14条第5項)
1.施設に係る基準
(1) 産業廃棄物収集運搬業(規則第10条第1項)
➀ 産業廃棄物が⾶散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬⾞、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
② 積替施設を有する場合には、周囲に囲いを設け、定められた表⽰を⾏い、産業廃棄物が⾶散流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が⾶散しないように必要な措置を講じた施設であること。
(2) 特別管理産業廃棄物収集運搬業(規則第10条の13第1項)
➀ 特別管理産業廃棄物が⾶散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬⾞、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
② 廃油、廃酸⼜は廃アルカリの場合には、性状に応じ、腐⾷を防⽌するための措置を講じる等、運搬に適する運搬施設を有すること。
③ 感染性産業廃棄物の場合には、運搬に適する保冷⾞その他の運搬施設を有すること。
④ ⽯綿含有産業廃棄物や廃⽯綿等の収集運搬については、他の物と混合するおそれのないように区分すること。また、それらを破砕するおそれのある⾞両(塵芥⾞等)を⽤いないこと。
⑤ 廃PCB等、PCB汚染物⼜はPCB処理物の収集⼜は運搬を業として⾏う場合には、応急措置設備等及び連絡設備等が備え付けられた運搬施設を有すること。
⑥ その他の特別管理産業廃棄物の場合には、特別管理産業廃棄物の種類に応じ、収集運搬に適する運搬施設を有すること。
⑦ 積替施設を有する場合には、周囲に囲いを設け、定められた表⽰を⾏い、特別管理産業廃棄物が⾶散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が⾶散しないよう必要な措置を講じ、かつ、他の物が混⼊するおそれのないように仕切り等が設けられている施設であること。
(3)産業廃棄物の種類に応じた運搬施設
運搬車両の例
産業廃棄物の運搬の⼤部分はダンプ⾞と平ボディ⾞によって⾏われており、その積み込み・運搬・積み下ろしの際に⾶散・流出しない⽅法で⾏う必要があります。また、悪臭の発⽣にも気をつけなければなりません。
産業廃棄物の性状 運搬車両
固形状の廃棄物 ➀⼟砂ダンプ︓「コンクリート」・「建設廃棄物のがれき類」等、⽐重の⼤きな廃棄物運搬⽤
②深ボディダンプ(⼟砂禁ダンプ)︓「廃プラスチック」・「⽊くず」等、⽐重の⼩さな廃棄物運搬⽤
このダンプは、⾃動⾞検査証の備考欄に「積載物は,⼟砂等以外のものに限る」と記載されており、「がれき類」、「鉱さい」は運搬することができません。
③パッカー⾞(清掃⾞)︓「廃プラスチック類」など圧縮⽣のある産業廃棄物の運搬⽤
泥状・液状の廃棄物 パッカー⾞・⽔密仕様のダンプ⾞︓「汚泥」・「廃油」・「廃酸」・廃アルカリ」等の廃棄物運搬⽤
悪臭のおそれがある廃棄物 パッカー⾞・⽔密仕様のダンプ⾞︓「汚泥」・「動植物性残さ」・「動物系固形不要物」・「動物のふん尿」・「動物の死体」等の廃棄物運搬⽤
運搬容器の例
⾞両と同様に運搬容器についても、⾶散・流失しない適切なものを選ばなければなりません。
⼀般的に最も使⽤されていのは「ドラム⽸」で、固形の物から液状の産業廃棄物まで、かなりの種類の運搬が可能です。
運搬容器 産業廃棄物の種類
ドラム⽸(オープンドラム) 燃え殻・汚泥・廃油・廃プラスチック・ゴムくず・⾦属くず・ガラスくず等・鉱さい・がれき類・ばいじん・⽊くず・紙くず・繊維くず・動植物性残さ
ドラム⽸(クローズドドラム)・⽯油⽸ 廃油
ケミカルドラム(クローズドドラム)・プラスチック容器 廃酸・廃アルカリ
フレコンバッグ 燃え殻・汚泥・廃プラスチック・ゴムくず・ガラスくず等・鉱さい・がれき類・ばいじん・⽊くず・紙くず・繊維くず・動植物性残さ
⼤型コンテナ 燃え殻・汚泥・廃プラスチック・ゴムくず・ガラスくず等・鉱さい・がれき類・ばいじん・⽊くず・紙くず・繊維くず・動植物性残さ
感染性廃棄物専⽤容器感 感染性廃棄物
2.申請者の能⼒に係る基準(規則第10 条第2号、第10 条の13 第2号)
(1) 講習会の修了
(公財)⽇本産業廃棄物処理振興センターが実施する「(特別管理)産業廃棄物収集運搬業の許可申請に関する講習会」を修了した者については、当該事業を⾏うに⾜りる知識及び技能を有する者として取り扱っています。
講習会の修了者は、次のとおりでなければなりません。
法⼈の場合︓その代表者若しくは、その業務を⾏う法⼈の役員⼜は政令第6条の10に規定する使⽤⼈
個⼈の場合︓申請者⼜は政令第6条の10に規定する使⽤⼈
申請時に添付する修了証は、修了の⽇から新規講習会は5年以内、更新講習会は2年以内のものであることが必要です。
講習会 許可申請区分(修了証の種類)
産業廃棄物収集運搬業 特別管理
産業廃棄物収集運搬業
新規 更新 変更 新規 更新 変更
産業廃棄物収集運搬業課程 新規 ○ ○ ○ - - -
更新 △ ○ ○ - - -
特別管理産業廃棄物収集運搬業課程
新規 ○ ○ ○ ○ ○ ○
更新 △ ○ ○ △ ○ ○
- 講習会は、オンライン講義を事前に受講し、その後会場で試験を受ける2段階形式となりました。
- △は、新規許可申請において、他都道府県等において許可を取得している場合は、更新講習会修了証でも代⽤できます。
- 福島県会場の講習会⽇程︓(⼀社)福島県産業廃棄物協会
- 福島県会場以外の講習会⽇程︓(公財)⽇本産業廃棄物処理振興センター
◎ 講習会申込みから試験までの流れ
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インターネットで講習会の受講を申し込む
修了試験を受ける日程・会場を選んで(公財)⽇本産業廃棄物処理振興センターに申し込みます。
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インターネットで講義動画を視聴して受講する
講義動画は、試験日までいつでも何度でも視聴することができます。
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試験会場で修了試験を受ける
申込時に選択した試験日時に、会場で修了試験を受けます。
合格した場合は、約3週間後に修了証が送付されます。
(2) 経理的基礎
(特別管理)産業廃棄物の収集⼜は運搬を的確に、かつ、継続して⾏うに⾜りる経理的基礎を有することが必要です。
① 法⼈の場合
・事業の開始に要する資⾦の総額及びその資⾦の調達を記載した書類、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表並びに法⼈税の納付すべき額及び納付済額を証する書類等により審査が⾏われます。
・新たに法人を設立するなど、過去3年間分の決算報告書が準備できない場合は、今後5年間の事業収支計画書(任意様式)を提出します。
・直前の決算期で債務超過となっている場合や納税に未納額がある場合等は、経理的基礎の審査のため別途書類(※)が求められるます。
・債務超過とは、⾃⼰資本⽐率がマイナスになっていることをいいます。
⾃⼰資本⽐率(%)=自己資本÷総資本(他⼈資本+自己資本)×100
② 個⼈の場合
・事業の開始に要する資⾦の総額及びその資⾦の調達を記載した書類、資産に関する調書並びに所得税の納付すべき額及び納付済額を証する書類等により審査が⾏われます。
・資産に関する調書において負債の額が資産の額を上回る場合や納税に未納額がある場合等は、経理的基礎の審査のため別途書類が求められる場合があります。
③ 中⼩企業診断⼠等が作成した診断書など別途提出する書類の基準については、都道府県等によって異なりますので事前に確認する必要があります。
※福島県の場合は、直前期の自己資本比率がマイナスであり、かつ直前期の経常損益及び直前3年間の経常損益の平均値が赤字の場合は以下の書類の提出を求められます。
・今後5年間の事業収支計画書(任意様式)
・事業収支計画書に基づき中小企業診断士(又は公認会計士)が作成した経営診断書(原因の分析と改善策を盛り込んだ内容で、作成者が押印したもの、又は作成者の資格証の写しを添付したもの)
3.⽋格要件
⽋格要件とは、法に従った適正な業の遂⾏を期待し得ない者を類型化して排除するために申請者(法人の場合はその※役員を含む。)の⼀般的適性についての要件を定めたもので、これらに該当しないことが許可の要件とされています。(法第14条第5項第2号)
なお、許可の取得後⽋格要件に該当した場合は、該当するに⾄った⽇から2週間以内に届出書を提出しなければなりません。(規則第10条の10の3、規則第10条の24)
※役員とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含みます。
1.法第7条第5項第4号(1)から(7)までのいずれかに該当する者
(1)心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として※環境省令で定めるもの
※(精神の機能の障害により、廃棄物の処理の業務を適切に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者)
(2)破産手続き開始の決定を受けて復権を得ないもの
(3) 禁錮以上の刑に処せられ、その執⾏を終わり、⼜は執⾏を受けることがなくなった⽇から5年を経過しない者
(4) 次の処分を受けている者で、その執⾏を終わり、⼜は執⾏を受けることがなくなった⽇から5年を経過しない者
➀ 次の処分に該当し、公訴を提起され、⼜は逮捕、勾留その他の強制の処分を受けている者
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び同法に基づく処分
・浄化槽法及び同法に基づく処分
・⼤気汚染防⽌法及び同法に基づく処分
・騒⾳規制法及び同法に基づく処分
・海洋汚染及び海上災害の防⽌に関する法律及び同法に基づく処分
・⽔質汚濁防⽌法及び同法に基づく処分
・悪臭防⽌法及び同法に基づく処分
・振動規制法及び同法に基づく処分
・特定有害廃棄物等の輸出⼊等の規制に関する法律及び同法に基づく処分
・ダイオキシン類対策特別措置法及び同法に基づく処分
・ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理推進に関する特別措置法及び同法に基づく処分
② 暴⼒団員による不当な⾏為の防⽌等に関する法律(第32条の3第7項及び第32条の11第1項を除き、以下「暴⼒
団対策法」という。)の規定に違反し、⼜は刑法第204条(傷害)、第206条(現場助勢)、第208条(暴⾏)、第208条の3(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)若しくは第247条(背任)の罪若しくは暴⼒⾏為等処罰ニ関スル法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(5) 第7条の4第1項(第4号に係る部分を除く。)若しくは第2項若しくは第14条の3の2第1項(第4号に係る部分を除く。)若しくは第2項(これらの規定を第14条の6において読み替えて準⽤する場合を含む。)⼜は浄化槽法第41条第2項の規定により許可を取り消され、その取消しの⽇から5年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法⼈である場合(第7条の4第1項第3号⼜は第14条の3の2第1項第3号(第14条の6において準⽤する場合を含む。)に該当することにより許可が取り消された場合を除く。)においては、当該取消しの処分に係る⾏政⼿続法第15条の規定による通知があった⽇前60⽇以内に当該法⼈の役員(業務を執⾏する社員、取締役、執⾏役⼜はこれに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法⼈に対し業務を執⾏する社員、取締役、執⾏役⼜はこれらに準ずる者と同等以上の⽀配⼒を有するものと認められる者を含む。以下この号、第8条の5第6項及び第14条第5項第2号ニにおいて同じ。)であった者で当該取消しの⽇から5年経過しないものを含む。)
(6) 第7条の4若しくは第14条の3の2(第14条の6において読み替えて準⽤する場合を含む。)⼜は浄化槽法第41条第2項の規定による許可の取消しの処分に係る⾏政⼿続法第15条の規定による通知があった⽇から当該処分をする⽇⼜は処分をしないことを決定する⽇までの間に次条第3項(第14条の2第3項及び第14条の5第3項において読み替えて準⽤する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による⼀般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分(再⽣することを含む。)の事業のいずれかの事業の全部の廃⽌の届出⼜は浄化槽法第38条第5号に該当する旨の同条の規定による届出をした者(当該事業の廃⽌について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の⽇から5年を経過しないもの
(7) (6)に規定する期間内に次条第 3 項の規定による⼀般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分の事業のいずれかの事業の全部の廃⽌の届出⼜は浄化構法第38条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があった場合において、(6)の通知の⽇前60⽇以内に当該届出に係る法⼈(当該事業の廃⽌について相当の理由がある法⼈を除く。)の役員若しくは政令で定める使⽤⼈であった者⼜は当該届出に係る個⼈(当該事業の廃⽌について相当の理由がある者を除く。)の政令で定める使⽤⼈であった者で、当該届出の⽇から5年を経過しないもの
(8) その業務に関し不正⼜は不誠実な⾏為をするおそれがあると認めるに⾜りる相当の理由がある者
2.暴⼒団員による不当な⾏為の防⽌等に関する法律第2条第6号に規定する暴⼒団員(以下この号において「暴⼒団員」という。)⼜は暴⼒団員でなくなった⽇から5年を経過しない者(以下この号において「暴⼒団員等」という。)
3.営業に関し成年者と同⼀の⾏為能⼒を有しない未成年者でその法定代理⼈が(1)⼜は(2)のいずれかに該当するもの
4.法⼈でその役員⼜は※政令で定める使⽤⼈のうちに(1)⼜は(2)のいずれかに該当する者のあるもの
5.個⼈で政令で定める使⽤⼈のうちに(1)⼜は(2)のいずれかに該当する者のあるもの
6.暴⼒団員等がその事業活動を⽀配する者
※ 政令で定める使⽤⼈とは、申請者の使⽤⼈で、次に掲げるものの代表者をいいます。
① 本店⼜は⽀店(商⼈以外の者にあっては、主たる事務所⼜は従たる事務所)
② ①のほか、継続的に業務を⾏うことができる施設を有する場所で、廃棄物の収集若しくは運搬⼜は処分若しくは再⽣の業に係る契約を締結する権限を有する者を置くもの
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