1. 排出事業者責任

廃棄物処理法は、「事業者は、その事業活動に伴つて⽣じた廃棄物を⾃らの責任において適正に処理しなければならない。」と規定し、排出事業者の処理責任を明確にしています。(法第3条第1項)

また、排出事業者が、その適正処理をするために、産業廃棄物の運搬⼜は処分を他⼈に委託する場合における基準を定めており、この委託基準に従って、排出事業者と処理(運搬⼜は処分)業者との間でそれぞれ委託契約(2者契約)を締結しなければなりません。(法第12条第5項〜第7項、法第12条の2第5項〜第7項)

2. 委託基準

(1) 処理を委託する場合の相⼿は、処理業の許可を有する者で、委託する産業廃棄物の処理が事業の範囲に含まれていること。(令第6条の2第1号、第2号)

(2) 委託契約は書⾯で⾏うこと。(令第6条の2第4号)

(3) 委託契約書及び添付書⾯は、その契約の終了の⽇から5間保存すること。(令第6条の2第5号、規則第8条の4の3)

3. 委託契約書の記載事項等

委託契約書の記載事項を次のとおりです。(令第6条の2第4号、規則第8条の4の2)
契約書に虚偽や不備があった場合には、委託基準違反として罰則の対象になります。

収集運搬に関する事項処分に関する事項共通事項
・運搬の最終⽬的地の所在地

(積換保管をする場合)
・積替保管場所の所在地
・保管できる産業廃棄物の種類及び積替えのための保管上限

(安定型産業廃棄物を積換保管する場合)
・積替保管場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
・処分場所の所在地
・処分の⽅法及び処理能⼒
・最終処分場所の所在地
・最終処分の⽅法及び処理能⼒
・処理業の許可を有する者で、委託しようとする産業廃棄物の処理が事業の範囲に含まれていることを証する書⾯(許可証など)の添付
・委託する産業廃棄物の種類及び数量
・委託契約の有効期間
・委託者が受託者に⽀払う料⾦
・受託者の事業の範囲
・委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報《環境省「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」参照》
(ア)産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
(イ)通常の保管状況の下での腐敗、揮発等産業廃棄物の性状の変化に関する事項
(ウ)他の廃棄物との混合等により⽣ずる⽀障に関する事項
(エ)⽇本⼯業規格C09950号に規定する含有マークの表⽰に関する事項
①廃パーソナルコンピュータ
②廃ユニット形エアコンディショナー
③廃テレビジョン受信機
④廃電⼦レンジ
⑤廃⾐類乾燥機
⑥廃電気冷蔵庫
⑦廃電気洗濯機
(オ)委託する産業廃棄物に⽯綿含有産業廃棄物が含まれる場合は、その旨
(カ)その他産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
・委託契約の有効期間中に前号の情報に変更があつた場合の情報の伝達⽅法に関する事項
・受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
・委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項

・排出事業者は収集運搬業者と処分業者のそれぞれと個別の契約を結ぶ必要がありまが、収集運搬業と処分業の両⽅の許可を持つ業者との契約の場合には、収集運搬と処分を同⼀の業者が受託するので、これを1つの契約書にまとめることができます。
・委託契約書の様式は(社)全国産業廃棄物連合会から購⼊できます。

4. 再委託の禁⽌

再委託とは、排出事業者と当初に委託契約を結んだ処理業者が、受託した廃棄物の処理を他の者に委託することをいいます。再委託は原則禁⽌されておりますが、例外的に、再委託が認められる場合があります。(法第14条第16項、法第14条の4第16項)

再委託が認められる場合

(1) 再委託の基準に従って委託する場合(あらかじめ、再委託について排出事業者の⽂書による承諾を受けている)(令第6条の12、令第6条の15)

(2) 受託者が改善命令、措置命令等を受けた場合(規則第10条の7、規則第10条の19)

5. 建設⼯事における排出事業者の定義

建設⼯事が数次の請負によつて⾏われる場合に、当該建設⼯事に伴い⽣ずる廃棄物の処理について、当該建設⼯事の注⽂者から直接建設⼯事を請け負つた建設業を営む者(元請業者)を事業者とするという規定があります。(法第21条の3)

したがって、元請業者が下請業者に産業廃棄物処理を委託する場合は、下請業者が必要な産業廃棄物処理業の許可を取得していなければなりません。

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